山での快眠は、安全で楽しい登山やキャンプの大前提。山でぐっすり眠れるかどうかは、次の日の行動を左右します。
その中でも寝袋(シュラフ)のサイズ選びは、保温性と快適性に直結する大切なポイントなんです。
でもいざ買うとき、
・欲しいモデルにちょうどいいサイズがない・・・。
・大人用の寝袋は子供だと大きすぎる。でもすぐに大きくなってしまうから買うのももったいない。
と悩んでしまうことも。
そんな時に役立つのが、髪を縛る“シュシュ”を使ったサイズ調整です。ぜひ次のアウトドアで参考にしてみてください。
ではサイズ選びの前に、なぜ寝袋のサイズ選びが重要か、寝袋の保温メカニズムをご紹介します。
寝袋の保温メカニズム
寝袋は“小さな暖房装置”

寝袋は自分の体温で温められた空気を閉じ込め、その暖かい空気層で全身を包み込む仕組みです。
この「暖気の層」が厚すぎても薄すぎても保温効率は落ちます。
- 大きすぎる寝袋…内部に余分な空間が生まれ、暖めるべき空気量が増えるため、体温が逃げやすくなる。
- 小さすぎる寝袋…圧迫されて中綿のロフト(ふくらみ)が潰れ、空気層が減って断熱効果が低下する。
このように、大きすぎても・小さすぎても十分な機能は発揮されないので、寝袋は、自分の体に“ちょうどいい”サイズでこそ最大限の暖かさを発揮します。
寝袋の「適正サイズ」とは?
自分の体にちょうどいいサイズとは、一般的に、寝袋は自分の身長+10cm前後の長さがベストと言われています。
例えば身長170cmの方なら、全長180cm前後の寝袋が目安です。それは、寝るとき足を自然と下に倒すため、自分が立った時の身長より長くなるからです。
前述したように、大きすぎると中で空気が余り、小さすぎるとロフトが潰れ空気層が減るだけでなく、窮屈で血流が悪くなり、寝づらく睡眠不足にもなってしまいます。

でも…欲しいモデルにちょうどいいサイズがない!
ブランドやモデルによっては、サイズのバリエーションが限られていたりしますし、欲しい時に欠品中なことも。
「少し大きいけど、他に選択肢がない…」という経験、アウトドア好きなら一度はあるはず。
そんな時に役立つのが、髪を縛る“シュシュ”を使ったサイズ調整です。

シュシュで作る「簡易フットボックス」
やり方はとってもシンプル。二人でやる方が確実で簡単ですよ!
- 寝袋に入り、頭を正しいに置き横になる。
- 足元を確認し、フットボックス(寝袋足元)からシュシュを通して、中に入っている足元まで上げてまとめる。
- 足先の空間が減り、体に沿った形になるので、余分な空気が減って暖かく感じられる。
これだけで余分な空間が減り、体にフィットして保温力がアップします。
シュシュは柔らかいので生地を傷めにくく、軽量&コンパクト。もちろんヘアアクセサリーとしても使えるので特に女性登山者には一石二鳥のおすすめアイテムです。

大人用寝袋を子供に使う時にも便利
山やキャンプでは、家族で寝袋をシェアすることもあります。
「すぐ成長するのに、子供用サイズの寝袋をわざわざ買うのはもったいない」という場合も、シュシュで足元を絞れば、大人用寝袋でもしっかりフィット。寒い夜でも足先がスースーせず、安心して眠れますよ。
成長に応じて、シュシュ位置を調整すれば、大人になるまでずっと使えます♪

田中商店おすすめ:温度調整しやすいキルト
田中商店では、軽量でコンパクト、さらに温度調整がしやすいキルトタイプの寝袋をメインに取り扱っています。
キルトとは、下の写真右の様に背中がざっくりと排除された、掛け布団タイプの寝袋ことです。

上述したように、寝袋の保温のキモは空気の層。ですが通常の寝袋では、背中側の綿は寝ている時に潰れてしまい、空気の層が出来づらく、あまり保温力が期待できないのです。
掛け布団タイプのキルトは、無駄な背中部を排除することで軽くでき、その分、前の部分に多くの綿を配置できるので、理にかなっています。
このように寝袋と比べ、キルトの良いところは、収納性・軽量性などがあげられますが、個人的に一番の評価ポイントは、使用温度帯がかなり広いこと。それこそ真冬から夏まで4シーズン使用可能です。画像のように、広げればブランケットとして、またすべて閉じてしまえばシュラフの様に使えますよ。
暑いときはブランケットのように開いて使用

寒いときはドローコードで足元を閉じ、しっかり保温

そしてシュシュと組み合わせれば、さらにフィット感を調整可能です。
ちょっとした工夫が山の夜を変える
「寒さ対策=高価なギア」というイメージもありますが、こうした身近なアイテムを転用する発想も大切。
山では軽量化と防寒の両立が重要なので、荷物の中にシュシュひとつ忍ばせておくと、もしもの時に頼りになります。
寝袋の保温力を引き出すカギは「サイズ」「中綿の性能」「体温維持」の3つ。
今回のシュシュ活用法は手軽で軽量、しかも費用ゼロに近いアイデアです。
ぜひ山やキャンプの荷物に、ひとつ忍ばせてみてください。
今回紹介したシュシュ法はあくまで簡易的な方法なので、ベースは自分に合ったサイズの寝袋選びを心がけましょう。
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