【山Tips③】果物の皮って分解にこんなにかかるの?”Trash Timeline”

田中商店のある、ここ桐生市梅田地区も毎年ゴールデンウイークを境に、水遊びやBBQ客で週末はとても人が多くなってきます。絶滅可能性都市にたくさんの人が訪れることは良いこと。ですが、自分達が楽しむためだけに自然環境に悪影響を与えてしまってはよくありません。しかも桐生川は上流。ここで落としたごみは、下流から最後は海にまで広範囲に影響を与えてしまいます。

田中商店店長のけんてぃーは2023年から、Leave No Trace Japan(LNTJ)のインストラクターとなり、団体メンバーに加盟しました。LNTとは、

未来の子どもたちのために、【今残さないことで、未来に残こす】をテーマに、環境に与えるインパクトを最小限にして、アウトドアを楽しむための環境倫理プログラムのこと。

そのテクニックのすべてが、7つの原則を基にしており、誰にでもわかりやすく、楽しく実践することができます。

LNT本拠地アメリカでは、国立公園すべてがこのプログラムを導入しており、スタンダードとして利用客もルールを守って楽しんでいます。

さて、今回お話するのは、7つの原則のうちの一つ。LNT原則3「ゴミの適切な処理」です。
さらにその中からお話するのは、ゴミの一生のお話。

目次

ゴミを捨ててはならない理由

改めて、自然界にゴミを捨ててはいけない理由ってなんでしょうか?それがマナーだから?景観を損ねるから?野生動物が食べてしまうから?理由は様々ありますが、自然ではないから。というのが根底にあると考えます。

河原や森の中に散乱したゴミは、それらを口にする可能性のある野生生物に脅威を与えます。化学物質まみれの人間の食べ物自体が動物に悪影響を与えるほか、例えば熊が、食べ物の味を覚え、道路に出てきてロードキルの要因になったり、人間に危害を加えるようになり、駆除対象になる可能性もあります。

食べ物またはゴミが分解されると周囲の環境に化学物質が溶け出し、近隣の植生に悪影響を与えたり、水源を汚染する恐れもあります。


バナナの皮、オレンジの皮、リンゴの芯など、「自然なもの、生分解性のあるもの」と考えられているゴミでさえ、野生動物にとっては有害な場合がありますし、それらは通常自然界では不自然なゴミであるのには疑う余地はありません。
(そこにバナナの木、オレンジの木、リンゴの木が自生しているのなら別ですが。。)

また分解には、日光、酸素、標高、方角、季節、土壌の種類、土壌の化学的性質、水分、微生物など、数多くの要因があります。重要なのは、これらの物の多くは分解されるのに想像以上に時間がかかるということであり、アウトドアではいつでも適切にゴミを処理しなければならないということです。

この記事では、様々な環境においてゴミが生分解、腐食、光分解するのにかかる時間を平均化した米国農務省森林局の研究結果をもとに、ゴミの一生についてお話します。

ごみの一生”Trash Timeline”

https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/gallery/070800295/?P=8

オレンジの皮やバナナの皮 (~最大2年)

オレンジやバナナの皮は、自然のものだから残しても大丈夫だと聞いたことがあるかもしれません。しかし、完全に分解されるには、これほどまでに時間がかかるのです。

また、これらの食品を残しておくことは、野生動物を引き付け、人間と接触させることになります。
最終的には、食餌条件付けによる馴化につながりかねません(人間=食べ物と認識して人間に積極的に近寄るようになること)。もし動物たちが人間の食べ物を求めて攻撃的になれば、私たちは彼らの命を駆除という形で危険にさらすことになってしまいます。
また、車から車道に投げ捨てられた生ゴミは、動物を車に近づけ、ロードキル(交通事故死)となる可能性もありますので、このようなゴミは必ず適切に捨てましょう。

たばこの吸い殻 (1年~5年)

フィルターはプラスチック製がほとんどです。周囲に溶け出す可能性や山火事の原因にもなります。携帯灰皿を持ち歩きましょう。

革やウール (1年~5年)

革のベルトやウールの靴下をそのままにしていませんか?これらは分解されるまでに1~5年かかります。訪問地を離れる前に、身の回りのものがすべて揃っていることを確認しましょう。

食品包装紙とプラスチックコート紙 (5年)

食品の包み紙やバーガー包みに使われるプラスチックでコーティングされた紙は、分解に5年かかります。これらのものは光沢があるものが多く、野生動物を人間に引き寄せることが多いです。

ブリキの空き缶 (50年)

缶コーヒーやお茶などのスチール缶は、50年も分解にかかります。

アルミ缶 (80年~100年)

リサイクルできるので、リサイクルへ。捨てたら人生一生分残り続けます。

紙おむつ (450年)

子供たちをアウトドアに連れて行くのが大好きですが、紙おむつはアウトドアにふさわしくありません。紙おむつは分解されるまでに450年もかかると言われています!

モノフィラメントの釣り糸 (600年)

モノフィラメントの釣り糸は、川の水系で最長600年も存在し続けます。釣り人には釣り糸をまとめることを勧めます。また残った釣り糸は野生生物が絡まる主な原因のひとつでもあります。
よく行く川でリサイクル・ユニットを見つけるか、自分で作ってみましょう。

ガラス瓶 (100万年)

酸でも溶けないほど化学的に安定した素材。そして割れたガラスはケガもしますので絶対に捨てないように。桐生川ではよく捨ててあるのを見ます。

ペットボトルと発泡スチロール (研究によりさまざま)

ペットボトルと発泡スチロールは、そのあたりでよく見られるゴミですが、その分解率に関する研究結果はさまざまで、どちらも分解するにつれてどんどん小さな破片になっていきます。そのため、野生動物が破片を餌と間違えてゴミで腹をいっぱいにしてしまう危険性が高いんです。(コアホウドリなど)また、清掃ボランティアがこれらの細かいゴミを拾い集めるのは非常に困難であり、しばしば海に流れ込んでさらなる害をもたらしています。
なので結局は、ペットボトルや発泡スチロールは避け、再利用可能なものを選ぶべきなのです。

まとめ

分解に時間がかかるのなら、燃やせばいいのでは?いいえ。ゴミを燃やすことは、大気中に有害物質を放出し、土壌に影響を与え、キャンプ場の焚き火台に野生動物を引き寄せるので、健康的な選択肢ではないことを忘れないでくださいね。

また、土地の管理者は、毎年信じられないほどの時間、資源、資金を費やして、アウトドアのゴミを除去しています。ゴミをすべて持ち帰ることで、私たちのフィールドを守ることができます。
なので、ゴミはなるべく自宅で処理し、ゴミにならない容器に移し替えて持って行くこともいいアイデアです。

アウトドアアクティビティは、自然環境に直結するアクティビティ。そして山、岩、川、海、雪などの自然やこの自然界で強く生きる動植物たちの姿を見ることもまた自然の恩恵。だからこそ、この素晴らしい自然を未来の子供たちまで残さなくてはなりません。

田中商店は、アウトドアアクティビティを通じてそういう大切なことを伝えられるお店を目指しています。
アウトドアで着るもの・使う物も、そのような目線でセレクトしておりますので、共感していただけたら幸いです。

ご不明点は、田中商店まで。
参考資料 https://lnt.org/skills-series-trash-timeline/

コアホウドリがプラスチックを子供に与えている動画

カラフルなものを集める特性があるコアホウドリがプラスチックを子供に与えている動画です。
ショッキングな映像もありますのでご注意ください。

Chris Jordan’s ALBATROSS film trailer from chris jordan photographic arts on Vimeo.
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この記事を書いた人

田中商店店長のけんてぃーです。
洋上石油掘削リグのメカニック~アメリカ横断~アウトドアショップ勤務を経て、妻の実家だった田中商店を2021年にリニューアルオープン。自然に優しいをコンセプトに国内外のアウトドア用品を天邪鬼店主がセレクトしてます!
アウトドアはもちろん、旅行やガジェットなど最新機材も大好きです!

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